「ㅅ変則」とは韓国語の変則のひとつ
ㅅ変則とは、
語幹の最後がパッチㇺㅅで終わっている一部の単語(用言)の後ろに、으니까や아/어요などㅇから始まる接続詞や語尾がつくと、語幹のパッチㇺㅅが脱落することです。
ㅅ変則の単語を例示
ㅅ変則が適用される単語は、
- 動詞:낫다(治る)
- 붓다(注ぐ、腫れる)
- 잇다(結ぶ、繋ぐ、継ぐ)
- 짓다(作る)
- 긋다(線を引く)
- 젓다(かき混ぜる)
- 形容詞:낫다(より良い、マシだ) などです。

「形容詞でㅅ変則を使うのは、낫다(より良い、マシだ)という単語のみ」と言われています。
ㅅ変則の文法構造をチェックしてみよう
ここからは、3つの単語(用言)を例に理解を深めてみます。
例1) 낫다(治る)と-아요/어요(-です/-ます)を組み合わせてみましょう。
낫다 + 아요/어요
(낫다から다を取り除く)
↓
낫(※語幹) + 아요/어요
(낫の後に아요/어요をつけるとき、낫のㅅの部分が脱落する)
↓
나 + 아요/어요
(나は陽母音なので아요をつける)
↓
나아요(治ります)
完成!

※語幹とは、動詞や形容詞の基本形から다を取ったものです。
ここでは낫다から다を取り除き、残った낫が語幹ということになります。
例2) 붓다(注ぐ)と-으면(-ならば)を組み合わせてみましょう。
붓다 + 으면
(붓다から다を取り除く)
↓
붓 + 으면
(붓の後に으면をつけるとき、붓のㅅの部分が脱落する)
↓
부 + 으면
↓
부으면 (注げば)
完成!
例3) 짓다(作る)と-으니까(-なので)を組み合わせてみましょう。
짓다 + 으니까
(짓다から다を取り除く)
↓
짓 + 으니까
(짓の後に으니까をつけるとき、짓のㅅの部分が脱落する)
↓
지 + 으니까
↓
지으니까 (作るので)
完成!
構造がわかればㅅ変則も怖くないですね。
ㅅ変則のちょっと気になること

나아요(治ります)って나요が正しい気がするんだけど・・・
学習を進めていると、用言+아/어요を接続する際のルールに「縮約」というものが出てきます。
例えば、가다 (行く)+아/어요のときに、가아요ではなく가요 (行きます)と短い形にすることができるというルールが「縮約」です。
今回の例を見ると、まなぶくんの言う通り나아요(治ります)を나요にしてもよさそうな気がしてきますが、こちらでは縮約をせず나아요(治ります)とします。

最初は慣れないと思いますが、たくさん反復して覚えましょう。
「縮約の例題も確認してみたい」と思った方は、『韓国語文法 陽母音・陰母音とは』も、ぜひご覧ください。
ㅅ変則が適用される単語(用言)の例文をチェック
以下の例文でㅅ変則による単語(用言)の変化を確認してみましょう。
ㅅ変則を使うと表現の幅が広がりましたね。
注意!ㅅ変則が適用されない単語(用言)もある!
語幹の最後がパッチㇺㅅで終わっている単語(用言)ならば、すべてㅅ変則が適用されるというわけではありません。
語幹の最後がパッチㇺㅅで終わっている単語(用言)でも、ㅅ変則が適用されない単語(用言)はたくさんあります。
例えば、웃다 (笑う)という動詞。
これは、語幹の後ろに으니까や아/어요などㅇから始まる接続詞や語尾がついても、語幹のパッチㇺㅅは脱落しません(= ㅅ正則)。
웃다 + 아/어요
(웃다から다を取り除く)
↓
웃 + 아/어요
(웃は陰母音なので어요をつける)
↓
웃 + 어요
↓
웃어요 (笑います)
完成!
웃다 (笑う)のほかにも以下の単語(用言)などはㅅ変則が適用されません。
ㅅが脱落しない単語(用言)の例
ㅅが脱落しない単語(用言)は、
- 씻다 (洗う)
- 빼앗다 (奪う)
- 벗다 (脱ぐ) など
が挙げられます。

どの単語がㅅ変則なのかわからなくて混乱してきたよ

最初は混乱するかと思いますが、継続してㅅ変則の練習を積むことで次第に覚えてきますよ。
ㅅ変則が適用されない単語(用言)の例文をチェック
ㅅ変則についてまとめ
ㅅ変則もこれでばっちりですね。